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特殊支配同族会社の業務主宰役員給与の損金不算入制度に関するQ&A

 −オーナー経営者に支給した役員給与に対する一部法人税課税−

(Q1) 18 年度税制改正で創設された特殊支配同族会社の業務主宰役員給与の損金不算入制度とは、どんな制度ですか?

(A1) いわゆる実質的な一人会社においては、
@オーナー(業務主宰役員)が自らへの役員給与を法人段階で経費として計上し損金の額に算入する一方で、
Aその役員給与について個人段階で給与所得控除を受けることが可能となっており(いわゆる「経費の二重控除」)、個人事業者との課税上の不公平がもたらされることになります。また、今回の会社法の制定により法人の設立が容易になることから、今後、個人事業者が租税回避を目的として法人形態を選択する「法人成り」が増加するなど、法人形態と個人形態との課税上の不公平がさらに拡大するおそれがあると考えられます。そこで、こうした課税上の不公平を是正するため、実質的な一人会社(特殊支配同族会社)におけるオーナーへの役員給与について、法人段階で経費の二重控除に相当する部分(給与所得控除相当部分)について損金算入を制限することとされたものです。


(Q2) いわゆる実質的な一人会社に該当すれば、すべての会社がこの損金不算入制度が適用されますか?

(A2) いいえ、そうではありません。いわゆる実質的な一人会社のうち、基準所得金額が一定の金額以下である事業年度については、この制度が適用除外とされています。


(Q3) 制度の対象となる実質的な一人会社とは、どのような会社でしょうか?

(A3) 実質的な一人会社(特殊支配同族会社)とは、オーナー及びその同族関係者等が、株式等の90%以上を保有し、かつ、常務に従事する役員の過半数を占めている同族会社とされています。


(Q4) 「業務を主宰する役員」とはどのような意味でしょうか?

(A4) 業務主宰役員とは、法人の業務を主宰している役員一人を指す概念であり、個人に限ります。具体的には、税務上の役員のうち、会社の経営に最も中心的に関わっている役員をいいます。通常は、代表取締役や社長といわれる役員がこれに該当することになることが多いと考えられますが、実質的な関わりにより判定することになるため、たとえば、役員給与の多寡などもその判断の一つの要素となるといえます。


(Q5) どのような場合に今回の制度の適用除外となるのでしょうか?

(A5) 本制度においては、
(1) 基準所得金額が年800 万円以下の法人
または、
(2) 基準所得金額が年800 万円〜3,000 万円で、 同時に、基準所得金額に占める業務主宰役員給与の割合が1/2以下の法人
以上の(1)(2)の法人が適用除外とされています。


(Q6) 適用除外の判定基準となる「基準所得金額」はどのようにして計算されるのでしょうか?

(A6) 基準所得金額とは、簡単に言えば、当該会社の、オーナーに役員報酬を支払わなかったとした場合の所得金額の過去3年間の年平均額です。繰越欠損金がある場合には、一定の調整計算を行うこととされています。


(Q7) オーナーの家族に支払った給与についても、今回の制度により損金算入が認められないという話を聞きましたが、本当なのでしょうか?

(A7) オーナーの家族の職務に対し支払った給与については、今回の制度の対象となりません。これは、個人事業者において専従者給与が必要経費として認められていることを踏まえたものです。


(Q8)会社が支払う法人税の対象(損金不算入)となる給与所得控除額は、どのようにして計算しますか?

(A8)会社がオーナーに支払う役員給与の金額に応じて、次のような計算になります。

業務主宰役員給与額
損  金  不  算  入  額
650,000円以下
業務主宰役員給与額の全額
650,001円  〜   1,800,000円
業務主宰役員給与額×40%(650,000円未満の場合は650,000円)
1,800,001円  〜   3,600,000円
720,000円+(業務主宰役員給与額−1,800,000円)×30%
3,600,001円  〜   6,600,000円
1,260,000円+(業務主宰役員給与額−3,600,000円)×20%
6,600,001円  〜  10,000,000円
1,860,000円+(業務主宰役員給与額−6,600,000円)×10%

10,000,000円超

2,200,000円+(業務主宰役員給与額−10,000,000円)×5%

(Q9)この制度は、いつから適用されますか?

(A9)この制度は、平成18年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用されます。

 (出典:財務省ホームページ国税庁タックスアンサー


実質的な一人会社のオーナーへの役員給与の損金算入制限措置

 


適用なし(租税回避に該当しない場合に限る)
実質的な一人会社の判定
適用除外

                     

              
No

Yes

オーナー(「業務を主宰する役員:一人」)及びその同族関係者等が)その同族会社の発行済み株式等の90%以上を保有している。
No

Yes

オーナー及びその同族関係者等が常務に従事する役員の過半数を占めているか。
No

Yes

実質的な一人会社(特殊支配同族会社)に該当

Yes

基準所得金額(当該事業年度の開始前3年以内に開始した各事業年度の所得等の金額〔法人の所得(欠損)金額+オーナーへの役員給与〕の平均額)が年800万円超か
No



               Yes

基準所得金額が年3,000万円超か
No
基準所得金額に占めるオーナーへの役員給与の額の割合が50%超か
No
        


Yes
Yes

               

                



適用あり

(オーナーへの役員給与の給与所得控除相当額の損金不算入)

 

 (出典:財務省ホームページ


(注1)内国法人とは
  国内に本店又は主たる事務所を有する法人をいいます。
(注2)同族会社とは
    株主等の3人以下とこれらと特殊の関係にある個人や法人が所有する株式の総数又は出資の金額の合計額が、その会社の発行済株式の総数又は出資金額の50%以上に相当する会社をいいます。
株主等とは株主又は合名会社、合資会社若しくは有限会社の社員その他法人の出資者をいいます。
《 特殊の関係にある個人とは 》
@ 株主等の親族 親族とは民法上の親族であり、配偶者、6親等内の血族、3親等内の姻族
A 株主等とまだ婚姻の届出をしないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者
B 株主等個人の使用人
C @〜B以外の者で、株主等から受ける金銭その他の資産によって生計を維持している者
D A〜Cに掲げる者と生計を一にするこれらの者の親族

「生計を一にする」とは、日常生活の資を共にすることをいいますが、会社員、公務員などが勤務の都合上、妻子と別居し、又はその親族が修学、療養などのために別居している場合でも、常に生活費、学資金又は療養費などを送金している場合や日常の起居を共にしていない親族が、勤務、修学等の余暇には他の親族のもとで起居を共にしている場合には、生計を一にするものとして取り扱われます。

《 特殊の関係にある法人とは 》
株主等が発行済株式の総数の50%以上の株式を有する会社をいいます。

 

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