シネマプラザ築映が閉館して間もない20日、ぶらくり丁のもう1つの灯が消えた。24時間マンガ喫茶・吉田屋の閉店である。
吉田屋といえば、ぶらくり丁アーケード内で唯一24時間年中無休営業を続ける店舗だったんだけども、ボク個人的にも、店内LAN網の保守とかでたびたび寄せてもらったり、店のホームページ(店内PCのデフォルトスタートアップページ)はボクが大昔制作したものだったりと、結構関わりが深かったりする。
社長は結構個性的な人で、本業はアパレル業なんだけど、儲かりそうな話にはすぐ飛びつき、なのになんとなく軌道に乗せてしまうという、その分妥協は一切許さない、まあ回線屋側から誤解を恐れずに言うなら「クチウルサイ優良クライアント」だった。ノーチェックで客にPCを使わせていたからよくシステムを壊され、ボクは緊急呼び出しされたものだ。ユーザーのチェック(会員制等)は行わないとこの先えらい事になりますよ、というのがコンサルタントとしてのボクの立場だったが、社長はそれを「そんなんじゃあ客が離れる」と言って聞き入れなかった。知っている人なら知っているネットワークの不備さえ、社長の方針だったのでそこより先へは踏み込めなかった。
何ヶ月か前、社長が飛行機事故でこの世を去った。周りから聞こえてくる無責任な噂話を聞くにつけ、社長が周りからどんな目で見られていたか、また、どんなスタンスで店を続けていたのかをイヤというほど理解した。しかしボクは去年社長から聞いていた。
「24時間営業はやめられないんだよ、ぶらくり丁だから」
社長が亡くなってからも店の経営は続いていた。家族経営の強さだとボクは思っていたのだが、店舗規模が縮小されたり、喫茶メニューが減ったりと、まちょっと気になるところはあった。それがここにきて急激に失速。やはり、経営者の馬力が推進力の殆どだったのだろう。
古オヤジがこだわって灯し続けたぶらくり丁の灯がまた一つ消えた。ぶらくり丁がどうすれば再興するのか、なんて事にボクら若い衆は殆ど興味がない。事実はひとつ、またぶらくり丁に行くきっかけが減った事。
どこからか声が聞こえる。今ぶらくり丁が必要としているのは若者のパワーなんかじゃない。ぶらくり丁にこだわる事が出来る、ぶっ壊して造り直せるオヤジのパワーだ。
吉田屋(そのうち消えることだろう)
http://www.yoshicho.com/
制作者としてはちょっと恥ずかしい作りではあるけれども。