「WinFD」 によると、MS-DOS時代に人気を博した著名フリーソフトウェア 「FD」(File&Directory tool)作者の出射厚(いでいあつし)さんが、昨年11月7日に脳腫瘍のため逝去していたことが分かった。享年56歳。
ボクが初めて自分のPCを手に入れた学生時代の1990年当時、NEC98の20Mハードディスクには、MSDOS3.3C、FD、LHA、DIET、WTERM、VZeditor、MIEL、一太郎4.3が入っていた。
当時それなりにPCを使おうと思えばDOSのCUIを有る程度理解している事が必須だったが、それを一覧表示+1keyオペレーションで一気に敷居を下げたのがこのFDといういわゆる「ファイラー」だった。仲間内ではよりGUIに寄った後発ファイラー・FILMTNを愛用する奴もいたが、ボクは「E」xecuteだの「V」iewだの「L」ogindiskだのというオペレーションが好きでFDを愛用していた。あーLHMTNは拡張子関連付けで使っていたなあ。FDとVZ、LHMTNの連携はパソ通やってたボクには必須の環境だった。
フリーソフトという概念を学んだのもFDだったなあ。世の中には偉い人もいるもんだと思いながら使っていた。niftyで使用感想メールを送ったら、簡単な内容ながら返事が返ってきたりして随分感動したものだ。
ITの世界に古き良き時代はない、と誰かが仰った。まあ確かにそうだ。有り余るPCパワーの前に、FDのインターフェイスは寂しいものだと言わざるを得ない。GUIが当たり前になるにつれ、DOS時代の優れたソフト群が歴史に葬り去られたのは必然なのだろう。しかしボクは忘れない、FDのフロンティア精神とマインドを。
出射さん、おつかれさまでした。
出射厚氏の残したソフト(Vector)
http://www.vector.co.jp/vpack/browse/person/an000006.html