桂枝曾丸氏の年に一度の恒例大興行、「わかやま芸品館其の六」が満員御礼のうちに無事終了。身震いするほどの完成度を見せつけました。
ボクの桂枝曾丸氏との付き合いは、1999年ラジオの新番組のパーソナリティとして彼を迎え入れたときから。「ヤンタンみたいなんを和歌山放送で!」という無謀極まりないコンセプトでの立ち上げに彼は呼応し、なんとコーナー企画書を叩きつけてきたのです。長時間の生放送、男女入り混じったパーソナリティ、細かなコーナー分け等、阿吽の呼吸で「深夜放送らしさ」を理解してもらえたのはやはり同じ世代なのであるなと感心したのと同時に、制作者側並あるいはそれ以上のヤル気がひしひしと伝わってきてやたら感動した事を覚えています。二代目桂枝曾丸襲名を年内に控えた彼の爆発力を借りる形で「wbsばくれつスクランブル」はスタートしたのでした。「わかやま芸品館」もその年に第一回が開催されました。
残念ながら番組は20世紀の後姿とともに終了してしまいましたが、ボクはいまだにあの番組の存在は若気の至りなどではなかったと自負しているし、若かった彼のパワーがあったからこそそう思えるのだと確信しています。
あれから六年。失速することなく彼は走り続けています。自分の芸に対して焦りというか危機感というかを常に持ち、様々な事を試し、仕掛け、まるで自分を追い立てているかのようなその振る舞いが渦をなして、身近な共感を生み続けています。そんな彼から、僕は目を離せずにいるのです。
六回目を迎えた「わかやま芸品館」、とうとう和歌山市民会館小ホールが満員となりました。和歌山という土地で、落語という素材で、ホールの席を全て埋めてしまうという偉業。しかしボクは少しも驚かなかった。トラッドをアグレッシブかつステディに積み重ねてきた彼にとっては至極当然な成り行きだと思えるからです。来年は更に規模が大きくなる。間違いない。