中国内陸部でイタイイタイ病(様の地域限局性集団疾患)が発生したらしい。正直言って、21世紀のこの時代に、この公害病を出してしまうことは恥ずかしいことなんじゃないのか。
イタイイタイ病とは、昭和30年代に知られるようになり、昭和43年に日本で初めて公害病として認定された病気で、原因は神通川上流の鉱山の排水に含まれていたカドミウム。日本の歴史教育では、この病気を含む公害病は「盲目に産業を成長させようとした代償」であるとされ、子供心にカドミウムやダイオキシン=公害と思い込ませるほどハードインパクトな教育であり、「イケイケもいいけどあんまり無茶するとしっぺ返しもあるんだなあ」という意識を歴史から学ばせる。
なぜ、中国で、今さら。原爆を実際落としたらこうなるんだとか、そういう事と一緒に、学べよ日本を見て。ボクらの国はあんたらんとこから多くを学ばせてもらってきたんだ。そりゃあいろいろあったけんだろうけれども、少しくらいは反面教師にしてもいいだろう。日本を馬鹿にするのは勝手だ。しかし、今イタイイタイ病にかかった人達は、世界中に馬鹿にされながら、この期に及んでそれはないでしょうとか言われながら、死んでいくのだ。国際社会の中で、中国なにやってんの!とか言われるのだ。アジアの盟主はあんたらんとこでいいからね、だったらね、そういう醜態をさらすな。
ボクの大学卒業旅行は中国だった。留年をくらっていたため同行する仲間もない孤独な旅だったが、それでも一度は行っておきたいと心を掻き立てる歴史とロマンに満ちた大陸だった。あえて安易なパックを避け、とある紀行本をたどる形で旅行会社にスケジュールを立ててもらい、長江を溯った。
人生で最も贅沢をした一週間だった。その場所に固定されたかのような4000年の歴史の激流の中を、ボクだけが水平に移動していた。学校で学んだ漢詩の舞台、水墨画そのままの風景、物静かで飾らない人々。すべてがでかく、深く、おおらかで、謙虚。こりゃ日本は勝てないよ、と思った。ほんの15年ほど前の思い出だ。
そんな中国が、最近は、ちょっと変わってしまったのかなと思える。ファンとしてはちょっと悲しい変化だ。少しだけ、ほんの少しだけ、謙虚じゃなくなってきた気がする。あそこはそういう国だから、とか、歴史教育と政策がどうのこうのとか、そういう議論は不毛だ。