ゼアス、ゼアス!ゼアス、ゼアス、ゼアス!
ガソリンメーカーとのタイアップで生まれたウルトラマン、ゼアス。劇場では別々に公開された「1」と「2・超人大戦~光と影」の2本が収録されている。
なんせこのゼアス、ウルトラマン史上最弱。ガソリンスタンドに勤務し、極度の潔癖症、ちょっと手が汚れると洗わずにおれない奴だったりする。変身は「ピカリ・ハブラシ」使用。任務は『地球のクリーン化』。
1:
表の顔はガソリンスタンドだが、本当は警備隊・MYDO(マイド)本部。そこに勤務するデーブ大久保、とんねるずらは、日夜地球の平和を見守っているのだ、で始まる第一作は、もう徹底したギャグ路線。潔癖症に付け込まれたゼアスは大苦戦。しかし自分のそんな癖を克服し、見事怪獣を撃破するのだ。はっきり言って、とんねるずの存在がウザい。ガキ向け。
2:
昇格ということでとんねるずをMYDOから消したのは大正解。ゼアスのドン臭さはそのまんまだが、非常にいいウルトラマン映画になっている。オープニングで敵・ウルトラマンブラックにコテンパンにやられ、すっかり自信をなくしたウルトラマンが、正道会館に入門し「心力」を心得、子供たちの声援を得て敵にリベンジ。
このウルトラマンゼアス、どうしても「平成版ウルトラマン」の流れから外されてしまいがちだけど、ボクは是非入れたい。1はともかく、2は非常にいい作品だ。これっきりなのが、ホント惜しい。
続けて観ると分かるんだけど、テーマは全編「頑張って自分に打ち勝て」なのである。それがあまりに愚直に、かつ、ギャグもからめて語られるので、大人の目で見ればどうしても「イロモノ的ウルトラマン作品」であると評価されてしまうわけだけど、そもそも、「パパが子供に見せたいヒーロー映画」を目指して作られたのは明らかなわけで、だから難しいシチュエーションは皆無だし、敵も見方もはっきりしていて、最近の「仮面ライダー」とかが陥ってしまったエンターテインメントのインフレスパイラルを完全に排除したつくりになっている。
「ウルトラマン世代」の大人が見ても胸が熱くなるにちがいない。子供たちが声を合わせて叫ぶ「ゼアス、ゼアス!」は、本当は自分たちが受けたかった声援じゃなかったか。ふと、何かを諦めてしまった自分に気付かされてしまうのである。そして、バカバカしいほどに一生懸命頑張るウルトラマンに、ついコブシを固めてしまうはずである。
大人たちを喜ばせる演出もてんこ盛りで、なつかしい警備隊の面々がカメオ出演していたりする。そもそも、この「ニセ・ウルトラマン」が出てくるストーリーも、かつてのシリーズで見たことのある展開なのである。故・アンディ・フグの踵落しも拝むことができる。
「シュワッチ!」-きょうもウルトラマンは、子供たちと、かつて子供だった大人たちの、夢と期待を乗せて飛ぶ。「過大評価だ」という奴はちゃんと見てから来い。
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