米イーストマン・コダック、富士写真フイルム、キヤノン、ニコン、ミノルタの日米写真大手五社が共同で規格を開発した、アドバンストフォトシステム(APS)のフィルム、レンズ付きフィルム、写真処理サービスなどが、22日一斉に発売される。
APSの新フィルムはカートリッジタイプで、35mmフィルムのようにベロが出ていない。サイズは高さ39mm×最短直径21mmとコンパクトで、ワンタッチでカメラに挿てんできるため、フィルム出し入れ時の失敗がない、撮影シーンに応じて自由にフィルムの途中交換ができるなど、従来のフィルムにはない機構が多く盛り込まれている。
また、一般利用者が現像プリント処理を依頼する場合は、従来の35mmフィルムとは異なり、撮影した全カットが、一枚に焼き付けられたインデックスプリントと、カートリッジに再収納された現像済みフィルムが返却され、利用者はインデックスプリントを見て必要なカットを大きなサイズにプリントする事になる。
また、35mmフィルムに比べて、小型フォーマットのネガを組み込んでいるため画質が劣るのではと言われているが、各フィルムメーカーは写真乳剤技術の向上や磁気情報で撮影デー タを取り込むため、一定サイズ以内であれば問題ないと説明している。
APSのフィルム発売を前に、和歌山市の写真処理機メーカー、ノーリツ鋼機は今年初めまでにAPS対応の現像プリント機のほか、従来の35mmフィルムの処理と兼用できるAPSアダプター数種を開発し、すでに系列会社のDPEチェーン店「西本」各店に配置しているが、19日には改めてAPS対応各機種の発表会を行い、普及に努める。
しかし、国内のミニDPS店や大手DPEチェーン店のあいだには、発売を目前に控えたいまも、「消費者にどのようなメリットがあるのか明確でない」とAPSの普及を疑問視する声も多く、中にはAPSをいっさい取り扱わないと宣言している大手DPEチェーン店もあり、今後の展開が注目される。