新宮市は熊野川の支流高田川を利用した小規模水力発電所を改修し平成10年秋に稼働、電力の一部を関西電力に売却する事業に取り組む。
高田川の水力発電所は、「那智水力電気」が大正8年に建設し、その後関西電力に移行され、ピーク時は毎時322キロワットを発電してきたが、ランニングコストがかさむため、昭和43年に廃止された。
新宮市は、電気代の節減と、防災上の自家発電の必要性から、この水力発電所の補修費用を調査した結果、取水せきと導水路の補修、水車と発電器の購入費用などあわせて4億8000万円と算定、このうち、国と県から75%の補助が得られるため、新宮市の負担は1億2000万円という。
このため新宮市は今年10月から改修工事を行い、二年後に稼働を始める計画で完成すれば、高さ2m、 幅18mの取水せきにためた水を、導水路で768m運び165mの落差を利用して発電器の水車を回し、 毎時270キロワット、年間200万キロワットが発電できる。
このうち年間50万キロワットは近くにある雲取温泉「高田グリーンランド」に送電し、残りは関西電力に売却する予定で、新宮市の試算では、1キロワットあたり10.5円で売却できれば、年間2100万円の収益が見込め、ランニングコストを差し引いてもおよそ10年で費用が回収できるとしている。
新宮市の発電所は市町村営の発電所としては近畿で6番目で、発電出力は最も高くなる。