新しい規格の写真システム「アドバンストフォトシステム」APSのフィルムとカメラがきょう世界一斉に発売され、カメラの西本には午前中に新商品が入荷した。
新写真システムAPSは日米の写真大手五社が共同で開発したフィルム規格をもとに撮影から現像・焼き付けまでを新しい仕様で行うもので、写真業界では異例の世界一斉発売となり、22日午前0時にフィルム、カメラ、レンズ付きフィルム(使い捨てカメラ)などが初出荷された。
APSは全国の消費者にはまだそれほど知られていないが、写真処理機のトップメーカー、ノーリツ鋼機のお膝下、和歌山市では早くからDPE業者の関心が高く、カメラの西本中央店では22日の午前10時に新商品が到着したが、一般のカメラ店やDPEの店に商品が届くのは2〜3日遅れると言うこと。
APS仕様のフィルムは現行の35mmフィルムよりも一回り小さくカートリッジ式になっているためカメラに装填する時に失敗が少ない、カメラがコンパクトになるなどの利点があるが、フィルムサイズが24mmと小さいため35mmに比べて画質が劣るとの批判もある。
これに対してフィルムメーカー各社は「乳剤の性能が向上しているため、サービス版や2Lサイズなど一般的なプリントならば充分な画質が得られる」としており、逆に「APSはフィルムベースに撮影済みや現像済みの情報のほか、フィルム番号、カット番号を磁気記録できるため、コンピュータで画像をスキャンして加工するのに便利になる。」とアピールしている。
メーカー各社は、今年中に全フィルム量の10%がAPSに、5年後には40%がAPSに変わると強気の見込みをたてているが、一方でAPSの普及に疑問を抱く声もあり、売上額では国内第2位のDPEチェーン店「写真屋さん45」では「35mmと比べて消費者に何のメリットもない」とAPS製品を取り扱いをしない事を決めている。
いずれにせよ、APSが定着するためにはメーカーが35mmカメラにはない新しい使い方を提案できるかどうかで、またコンパクトカメラの設計を煮詰める必要があるだろう。レンズ付きフィルムは別にして、今回発売された各社のコンパクトカメラはいずれも、現在の35mmカメラより際だってコンパクトだとは言えないばかりか、35mmカメラの中にはAPSカメラよりも小さいものさえ見られた。