来年春に卒業しふるさと就職を希望する学生と地元企業との橋渡し場となる「わかやま産業就職セミナー」が、30日和歌山市で開かれ去年を上回る参加企業・学生でにぎわった。
産業就職セミナーは好景気に沸いた平成元年に、和歌山商工会議所が採用難に悩む地元企業を支援するために初めて開催したが、最近は就職難の学生に地元企業を紹介する絶好の場となっており、開場の和歌山東急インには去年を6社上回る地元企業28社が個別ブースを設け、学生ひとりひとりに 会社概要や来春の採用状況を説明した。
去年このセミナーには大学・短大・専門学校生あわせておよそ1400人が開場を訪れましたが、30日は開場が午前10時にもかからわず、午前8時頃にはおよそ20人の学生が順番待ちをするほどで去年にも増して盛況だった。
例年、上場企業や銀行のブースには長い列ができるが、不良債権の処理のために赤字決算をした銀行や、リストラを進めている信用金庫のブースには今年相変わらず長い列ができており、学生にとっては金融機関の安定神話はまだまだ根強いようだ。
一方、発展途上の地元企業にとっては、「大手が採用を手控えている今こそ良い人材を採用するチャンス」とばかりに、採用意欲は活発で今年初参加の企業も3社あったが、学生に人気の上場企業のなかには「このセミナーはおつきあいのため」と割り切って、採用人事の責任者の姿が見かけられない企業もあった。
学生にとっては今年も厳しい就職戦線が予想されるが、来年の大企業の採用は今年に比べて若干増えると伝えられているためか、学生たちの表情も去年よりいくぶん明るく感じられたが、それでもある女子大学生は「景気が好転したと言われていますが私たちには実感がありません。」と話していた。