今月24日に決算発表が行われる紀陽銀行、阪和銀行、それに未上場の和歌山銀行の抱える不良債権総額は2145億円にのぼり、紀陽銀行は赤字決算に転落、阪和銀行と和歌山銀行はからくも黒字決算にこぎつけた。
[紀陽銀行] 紀陽銀行は96年3月末に、およそ730億円不良債権の前倒し処理にあてることにより、残る不良債権は1360億円、その内訳は、破たん先440億円、延滞先700億円、金利減免220億円となる。
債権処理の主な内訳は、地銀生保住宅ローンなど住専向け債権56億円、関連ノンバンクの紀陽ビジネスファイナンスへの支援損142億円などで、96年度の業務純益(210億円)のほか、株式売却益330億円と任意積立金の取り崩しなど190億円を不良債権の処理にあてる。
このため、紀陽銀行は96年3月期に経常損益、税引き後損益とも190億円の赤字となるが、来期以降は経常黒字となり、銀行本体の不良債権処理は97年3月期までにほぼ終えるとしている。
紀陽銀行の赤字決算は昭和6年の昭和恐慌以来で、年間配当も50銭減配して4円50銭とすると同時に、約250人の人員削減や店舗の統廃合、役員賞与の全額返上などの合理化計画も公表した。
[阪和銀行] また、去年12月に系列ノンバンク2社を処理した阪和銀行は、今期に引当金(債権償却特別勘定) 130億円を計上、残る不良債券額は573億円としている。
不良債権の内容は破たん先債権が61億円、延滞債権が483億円、金利減免債権が29億円で、今後3年間で不良債権の処理を終える計画をたてている。
経常利益、当期利益も当初予想を下回ったが、債券売却益約10億円を含め35億円の業務純益を確保、経常黒字にこぎつけた。
合理化計画では、役員賞与の全額返上、役員報酬の平均3割カットのほか、人員を約900人から2000年3月末に750人に減らすことを明らかにしている。
[和歌山銀行] 和歌山銀行は、今期35億円業務純益と担保物件処分などで38億円の不良債権を処分し、さらに3月期で住専向け債権9億8400万円を全額放棄、残る不良債権は212億円とし、96年3月期は6億円の経常黒字を絞り出した。
不良債権の内訳は、破たん先債権91億円、延滞債権121億円、金利減免債権0億円としており、やはり今後3年で全額処理するとしている。
和歌山銀行は「バブルの傷跡」が比較的軽いと言われているが、今後は店舗の統合廃止を検討しており、この4月には大阪の今里出張所が大阪支店に統合された。
しかし、人員削減や新卒採用の削減などの処置は行わない事にしている。