和歌山県工業技術センターは、京都大学と県内民間企業7社の共同研究で、木材のプラスチック化技術を応用した新素材の実用化に世界で初めて成功した。
この研究は、京都大学農学部の白石信夫教授が61年に開発したフェノール系の有機溶媒を利用して木粉を液化する技術を応用して、和歌山県工業技術センターと大洋樹脂工業(美浜町)やアイセン工業(海南市)など民間7社が参加している「和歌山県天然高分子利用共同組合」が平成3年から行っていたが、このほど本格的な実用化ができる見通しがついた。
新しい素材は、液化した木材から溶媒を除去した後、さらに木粉の補充材と硬化剤を混ぜたものを、熱と圧力で加工して粒状にしたもので、補充材の木粉の割合で強度を調節することができる。
今回は、大洋樹脂工業の美浜工場の圧縮成型器で、漆器の生地となる腕や盆などの成形に成功し実用化のめどがついたが、補充材に木粉の代わりにでんぷんを使用した場合は、微生物による成分解が可能となり、地球環境に優しい新素材としてレジャー用の使い捨て容器などの用途が拡がると県工業技術センターは話している。