近畿大学生物理工学部の松代愛三教授のグループは、バイオテクノロジーでつかかやな真珠のタンパク質を試験管の中で合成する技術を開発し、人工真珠の生成にめどをつけた。
真珠はアコヤ貝の分泌する二種類のタンパク質と海水中の炭酸カルシュウムが固まってできるが、このときサイコロ状の独特の結晶を作るため、つややかな光沢が生まれる。
しかしこれまで、なぜサイコロ状の結晶を作るかが解明されておらず、タンパク質の合成が不可能であったが、松代教授らはタンパク質の遺伝子に着目し、アコヤ貝の外套膜から遺伝子を取り出し、バイオテクノロジーで、二種類のタンパク質のうち重要な働きをするタンパク質を、ほぼ天然に近い形で合成することに成功した。
また、このタンパク質は試験管の中でもサイコロ状の結晶をつくる事が、実験で確認されており、残るもう一種類のタンパク質も近々合成できる見通しで、松代教授は「まだ技術が確立したとは言えないが、天然成分と同じタンパク質が合成できれば試験管の中でも真珠が作れるようになる。」と話している。
近畿大学生物理工学部は、3年前に那賀郡打田町に開学したが、松代教授は「大阪から和歌山に赴任したときに、和歌山の海、山のすばらしさを知り和歌山らしい研究を、と思ってとりかかった」と話している。