関西電力は、LNG火力発電所の建設計画を進めている和歌山市の住友金属西防波堤埋立地で、今月5日から活断層の調査を行っており、8日その現地の様子を公開した。
発電所の建設候補地となっている住金西防波堤埋立地は、日本有数の断層である中央構造線のすぐ 南側にあり、最も近い活断層まで2Hという調査結果が出ている。
このため関西電力は、起振車でほぼ10mごとに震度2〜3の振動を与え、振動の伝わり方で地質を判断する調査を行っている。
今回は、埋立地の東西3H、南北1Hの範囲で地質調査を行い、調査結果を和歌山市に報告することにしているが、データの解析におよそ2カ月かかると見られている。
西防波堤埋立は住友金属が、公害防止のために工場施設を住宅地から遠い海上に移転する事を目的に、昭和55年から埋め立てを開始、今年8月には176.5haの埋立地が完成するが、住友金属自体は鉄冷の影響で工場の移転計画を中止した。
このため関西電力は、およそ100haの敷地を利用して、出力370万キロワットの関西最大のLNG火力発電所の建設計画を進めているが、地元住民からは「公害をなくすために埋め立てたところに新たな公害施設をつくるとは」「中央構造線のすぐ近くにガスタンクが立ち並べば、大地震の時に連鎖爆発する危険がある」と反対の声も聞かれる。
もともとこの埋立地は、住友金属の溶鉱炉で鉄鉱石から鉄を溶かしだしたあとの「鉱さい」と呼ばれる岩石と、和歌山市ほか紀北地方の一般廃棄物で埋め立てられたため、地盤が弱く建造物を建設するには地盤強化のコストがかかりすぎると言われている。
しかし、地盤改良のために地下20m以上も杭をうつ発電所ならば地盤沈下の心配はないと、旅田前和歌山市長が建設計画を公表していたもので、和歌山市や県にとっては固定資産税や電源三法の交付金など大型財源が得られる事になる。 現在、県知事の諮問機関である「西防波堤沖埋立地利用計画検討委員会」が設置され、環境調査の結果を待って来年1月ころに、火力発電所建設に関する答申が出される予定。