アジア各国に進出する県内企業が増えている中、紀陽銀行はきょう和歌山市でアジアへの進出を検討している企業の経営者を対象にアジアビジネスセミナーを開いた。
去年暮れの超円高以来県内企業にも海外進出を積極的に検討する動きが目立っており、このため紀陽銀行は海外の経済情勢や企業進出の現状を正しく知ってもらうため定期的に講演会や勉強会を開催しているが、きょう和歌山市内のホテルで開かれたセミナーは、より具体的で実践的な内容となった。
この日の講師は数々の海外プロジェクトを成功させているオクタス・コーポレーションの藤本直司さんで、藤本さんはまず、「海外進出には時間と金と人材が必要です。これに手を抜くとあとで二倍三倍のトラブルが帰ってきます。」と警告した。
続いて藤本さんはインドネシアやマレーシア・中国に進出した企業が直面したトラブルを例に揚げながら、アジア各国は品質管理と加工精度が低く、これを日本のレベルにまで引き上げるのは至難の業と言える。また、労働力が安いと言われるが、生産性が低く、ひとりひとりの生産性は日本の10分の1程度と考えたほうが良いとしている。
このほか、海外と合弁事業や技術提携をする場合は、契約書は日本側で作り、技術や著作権の及ぶ範囲と地域を明記する事が重要としている。
一方、紀陽銀行国際部は、取引先のなかで海外進出をしている企業は100社を越しており、海外進出の動機はさまざまだが、今はもう海外で儲けようという観点で海外に出ていく時代ではない、長い目で見て自社の業績を安定させるための海外進出が好もしいと話している。