和歌山市内の8 つの漁協が今年7月から共同で、雑賀崎漁協に海産物の直販所を開設し、和歌浦湾で水揚げした海産物を市価の2割〜3割安で販売する。県漁連や大型の単一漁協が直売所を開設する例は全国にいくつかあるが、中小漁協が共同で事業を展開する例は珍しい。
直売所は、和歌山市が雑賀崎漁港に建設する冷蔵庫つきのログハウスに開設され、和歌山市内の加太、西脇、雑賀崎、田ノ浦、和歌浦、和歌川、布引、毛見浦の8つの漁協でつくる評議委員会が経営する予定になっています。
当初は、8つの漁協の水上げ(年間水揚げ高、加太10億円、雑賀崎8億円、田ノ浦1億6000万円、総額23億7000万円)の1割〜2割を直売に回し、市価の2割〜3割安で販売し、年間2000万円程度の売上げを見込んでおり、収益金は漁礁の整備や養殖漁業の研究費に回したいとしている。
現在8つの漁協で水揚げされた海産物は、地元仲買人を経て大阪市場や和歌山中央卸売り市場に出荷されており、消費者に届くまで3段階のマージンがかかっているため、漁業者の収益は薄く、消費者価格は高い流通形態になっている。
そこで、漁業者が消費者に直接販売できれば、中間マージンが消えるため消費者にみ漁業者にも有利になり、なによりも漁業者の管理漁業がしやすくなると考えられている。
しかし、全面的に流通形態を変えると、地元の仲買人への影響も大きく、また漁業者も水揚げを安定させるための自助努力が求められる事になり、今後、仲買人との調整、漁業者どうしの出漁調整などが必要である。