アスキー、ベッコアメ・インターネットダウン相次ぐ通信サービスバックアップの不備が判明
パソコン通信大手のアスキーネットのシステムが95年12月13日に停止した。その8日前の12月5日にはインターネット・プロバイダ最大手のベッコアメ・インターネットのシステムがダウンした。
原因はいずれもディスク装置の障害。両社とも障害発生時のバックアップ体制が不十分だったため、数日間にわたってユーザーに十分なサービスを提供できなかった。
データのバックアップをとる作業は両社とも月に1回の頻度で実施していた。しかしベッコアメの場合はバックアップの直前に障害が起きたため、1カ月前のバックアップ・データでは役に立たずユーザーからデータを再送してもらう必要があった。
アスキーが運営するパソコン通信サービス,アスキーネットのシステムが12月13日の午後5時にダウン。東京都内に設置している通信ホスト(UNIXサーバー)のディスク・アレイが壊れ,データを読み出せなくなった。
このディスク・アレイにはリアルタイム会議や電子メール,電子掲示板といった主要な通信サービスで使うデータがすべて入っていた。事故直後はトラブルの原因がわからなかったため,ディスク・アレイを含む通信ホスト・システム全体を交換する措置をとった。
翌14日の午後1時30分に,大阪にあるバックアップ・センターのシステムを使ってサービスを再開したものの,復旧できたのは電子メールと電子掲示板だけ。リアルタイム会議などすべてのサービスを復旧できたのは,東京のホスト交換と動作チェックが終了した16日の午後8時30分になってからだった。この後も12月27日,1月8日と続けざまにシステムがダウン。ともにディスク・アレイの故障が原因だった。
ベッコアメはホームページが全滅 アスキーネットのトラブルの8日前,12月5日の午後9時には,インターネット接続サービスを提供しているベッコアメ・インターネット(本社千葉県松戸市)のシステムに障害が発生した。ベッコアメは3万3000人のユーザーを誇る国内最大規模のインターネット・プロバイダである。同社のWWWサーバーに接続したディスク・アレイのデータが読み出せなくなった。
ベッコアメは原因を探るため接続サービスを停止。ユーザーはWWWサーバーの情報検索や電子メールのやり取りができなくなった。ベッコアメは翌6日の午後6時にディスク・アレイの代替機を使ってサービスを再開したものの,WWWサーバーにホームページを登録していた2000人以上のユーザーに対してホームページのサービスを再開できなかった。
というのも,ディスク・アレイの代替機にユーザーのホームページのデータを転送できなかったためだ。ホームページのデータは改めてユーザーがベッコアメに送信し直さなければならなかった。結局,ほぼすべてのホームページを復旧するまでに,トラブルの発生から1週間ほどかかってしまった。